つり革はユニバーサルデザインか?
ここ最近、電車に乗っていると思うことがあります。「マスクちゃんとつけろよ」とかではないです(いや、まあ、思わなくはないですが)
答えは
「つり革の位置低くね???」
です。「は?」と思われた方もいるかもしれませんが、つり革の丸く(最近は三角形か)なっている部分がおでこに当たるんですよ。
私の身長はだいたい172cmあります。日本人男性20歳の平均身長が171.95cmだそうなので、平均くらいですね。あくまでも平均なので「多くの人がこのつり革におでこをぶつけるということをしたことがあるか」と問われると微妙ですが、共感していただける方もいると思います。
(参考:文部科学省 「年齢別体格測定の結果」https://www.mext.go.jp/component/b_menu/houdou/__icsFiles/afieldfile/2009/10/13/1285568_2.pdf)
ユニバーサルデザインとは何ぞ?
さて、ここからが本題。
みなさんは、「ユニバーサルデザイン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?ユニバーサルデザインとは、ユニバーサル=普遍的な、全体の、という言葉が示しているように、「すべての人のためのデザイン」を意味し、年齢や障がいの有無などにかかわらず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインすることをいいます。
(引用:三重県「ユニバーサルデザインのまちづくり」)
カスタネットのような持ち手の鋏を見たことがあるでしょうか。あれも、ユニバーサルデザインの一種です。そして、ユニバーサルデザインの原則にはこんなものがあるそうです。
- 誰でも使えて手にいれることが出来る(公平性)
- 柔軟に使用できる(自由度)
- 使い方が簡単にわかる(単純性)
- 使う人に必要な情報が簡単に伝わる(わかりやすさ)
- 間違えても重大な結果にならない(安全性)
- 少ない力で効率的に、楽に使える(省体力)
- 使うときに適当な広さがある(スペースの確保)
(引用:三重県「ユニバーサルデザインのまちづくり」)
つり革はユニバーサルデザインか?
ここからは、完全に私見、私の独自解釈です。
う~ん、確かに最近のつり革はユニバーサルデザインに該当しそうですね。
①公平性→〇(誰でもつかまりやすいですよね)
③単純性→〇(ほかの使い方は体操の吊り輪)
④わかりやすさ→〇
⑤安全性→〇(体操の吊り輪に使っちゃだめですよ)
⑥省体力→〇(背の低い方でも背伸びせず使えますよね)
ただ、問題なのは自由度とスペースの確保だと思います。
1⃣自由度
ここでの「自由度」とは柔軟に使用できることだそうです。まあ、つり革は「つり革」としてしか使用できませんが。ただ、だれも持っていないときは荷棚側に上がるとか、ストラップのように上下に伸縮するなどの工夫があると、身長が高い人も低い人も「柔軟に使用できる」のではないでしょうか。
もしかしたら、ストラップは強度的な問題があるかもですが…
2⃣スペースの確保
スペースの確保という点からもみたいです。これは、「使うときに適当な広さがある」という観点だそうです。つり革ってずっとぶら下がっていますね。つり革とつり革の間に顔が入れば、額に当たる心配はないのですが、満員電車だとそうもうまくいきません。運悪くつり革の前に立つことになれば、揺れるたびに額につり革が当たる羽目になります。
救いはあるのか
このように少し問題のあるつり革ですが、こんな解決法を思いつきました。
1⃣スタンションポールの設置
つり革を削減する代わりにスタンションポールを設置するのはどうでしょう。これの設置で人の流れは悪くなるかもしれませんが、手すりが増えることで背が低い人でも確実につかむことができますし、背の高い人でもつかめます。
2⃣高さを変える
高い位置のつり革と低い位置のつり革を交互に設置するのはどうでしょう。実際に採用している鉄道会社もあるようなので、これのほうが現実的ですね。当初は、背の低い方向けだったようですが、これは背の高い人への配慮にもなっていそうですね。
(参考:イセトーユ・ニ・バ 「街で見つけたユニバーサルデザイン ~電車のつり革の工夫~」https://ist-ud.iseto.co.jp/?p=950)
最後に
日本にも浸透してきた、ユニバーサルデザインですがまだまだいわゆる「弱者への配慮」という部分がクローズアップされすぎていると思います。「弱者への配慮」というのが、ほかに弱者を生んでいないか検討されるべきだと思います。ユニバーサルという意味をもう一度確認する必要があるかもしれませんね。